A SCENE TALK #2

THE GROUND depot.

現代美術作家として活躍し、ユーモラスな作品を発表し続ける加賀美氏と今年10周年を迎えたギャラリー「VOILLD」の伊勢氏にA SCENEディレクターの古家がインタビューを敢行。コラボレーションを軸に様々なお話を伺いました。

古家 まず今回のコラボレーションのきっかけは、知人からの紹介で「VOILLD」さんにお伺いさせて頂いた事でした。そこでオーナーの春日さんと話をしながら、「VOILLD」さんゆかりのアーティストとのコラボレーションアイテムを生み出そうと話が盛り上がりました。スマホケースにアートを落とし込むのはブランドとしても初めての試みで、ブランドのアイコンでもあるPVC clear caseに加賀美さんの文字って映えるよね。と、その場で具体的にイメージまででき上がったのがこのコラボレーションの始まりです。

Q1  なぜA SCENEとコラボレーションしようと思ったのか

加賀美 オシャレでかわいかったから。プレーンなスマホケースに文字や絵が入ってるのは昔すごい流行ってたじゃないですか。でもここまで一式コラボレーションするのは、初めてでした。特に、この紐がオシャレで良いなと思いました。うちの奥さんすごい気に入ってますよ。笑

Q2 加賀美さんと伊勢さんの普段の関係性について

伊勢 10年以上一緒に仕事させて頂いていて、コラボレーショングッズやイベントなどをやらせてもらったりとか、楽しいことをたくさんご一緒にさせて頂いていたら10年。はじめてお会いしたのは中目黒で20代でしたね。

加賀美 もう10年、12年くらいだね。

伊勢 加賀美さんは世代問わず愛されるモノをずっと作り続けていられる方ですし、本当に出会った時とスタイルが変わらないので。そこがかっこいいなというか尊敬してるところですね。

加賀美 変わりようがない。

古家 今回展示会に出させて頂いて、20代から60代ぐらいまで様々な世代の方が「かわいい」と言っていただけたので、刺さる幅の広さに驚きました!

伊勢 そこがシンプルで強くてインパクトがあって、加賀美さんの持ち味じゃないですか。今スマホケースで、こんな小さい面なのにみんな主張するじゃないですかここで。笑

加賀美 する。

伊勢 スマホアイテムは洋服とは違う感覚になるので、加賀美さんの感性のハマりが良いなと思いました。

古家 本当にそうだと思います。

Q3 セルフィー大好ふぃー、スマホ依存、もしもーしの言葉が生まれるまで

加賀美 だいたいお取り組みする仕事で共通してるのは、打ち合わせしている時にはもう思いついてます。それで家までのバスや電車やチャリに乗ってる時にまとめて家帰ってから一気に書いちゃうんですよ。メモみたいにバーって。それで次の日に清書して。割と早いっちゃ早いんですけど。だいたい喋ってるときになんとなく浮かんでますね。

古家 今回も20個くらい生み出していただきましたよね。

加賀美 いつもいっぱい渡すんですよ。びっくりされます。決め打ちで出すと、それで駄目だと言われたらもう1回考えないといけないから、僕は全部バーンって出して。そこで最近思ったのは、いっぱいだすとこんなに使って良いんですか。ってなるんですよ。

古家 僕、乗せられましたね。笑

加賀美 そう。笑 A SCENEさん以外でもそういうのがあって増えたりしますね。それを狙ってたくさん出してる訳じゃないですけどね。

伊勢 いっぱい出しても選ばれないということもありますからね。

加賀美 そして、いっぱい出すと嬉しいって言われるので、浮かんだのは全部書くようにしてるんです。ボツにするのもあるんですけど。

古家 僕らもブランド内で色々話合ったのですが、たくさん良い候補を頂いたので人によって刺さる言葉がバラバラで、ある意味まとめるのが大変でした。笑

加賀美 わかります。それも面白いですよね。

古家 生み出していただいた言葉は、自分たちブランド単体ではなかなか発信することが出来ないメッセージ性のあるものなので、本当に素晴らしい3つの言葉だと思っています。

加賀美 多分、僕の「加賀美フォント」がね。例えばスマホ依存が打ち文字だったら角が立つというか。

古家 ズーンときちゃいますよね。

加賀美 汚い字でなんとなくごまかしてるというか。この字でごまかしてるんでしょって、よく言われます。”セルフィー大好ふぃー”やばいよね。

古家 僕たちは特にスマホアクセサリーブランドで、セルフィー撮っていただくことでブランドが認知されていくことってよくあると思うので、そこを逆手に取るというか。やっぱりそこは加賀美さんと一緒にやる事でしか表現出来ないと思います。

伊勢 “セルフィー大好ふぃー”なんて言わないですもんね。

古家 はい、そして“セルフィー大好き”もありましたね。

加賀美 そんなん書いてあった?

古家 ありました。“大好き”と“大好ふぃー”があって。

加賀美 そこだろうね。選ばせるというか。笑

Q4 ちなみに文字は一発書なのでしょうか

加賀美 字間違えたり、インクがかすれたりする時はあります。その場合は書き直すんですけど、だいたい一発書きですね。もちろん自分の中で気持ちよく書けた時とか、ちょっと気持ち悪いなと思うこともあるんです。別の人が見ても一緒だよって言われると思うんですけど、ささっと書けたときと、リズムがうまく乗らないなってなった時は書き直したり。あと普通に漢字間違えちゃったり。一回、納品したら字が違いましたよって言われて書き直したこともありますね。

Q5 今回の商品についての完成度は

伊勢 最高じゃないですか。

加賀美 すごく良い。100点!500点!いいよ~。

伊勢 加賀美さんもここまで色とか使われたものが意外と無かったですし。モノクロのイメージ。

古家 そうですよね。

伊勢 色んなコラボさせてもらってる中でもモノクロだったりするじゃないですか。こういうキーホルダーの遊びがあったりだとか。

加賀美 かわいいよね、キーホルダー。

伊勢 すごいアレンジが効いていて、A SCENEさんらしさと加賀美さんらしさがありますね。

古家 作っている中でいろんな発想が出てきて、モノも作りやすかったなと。キーホルダーも実際外せるようにした部分も色んな付け方が出来ると面白いアイテムになっています。

加賀美 キーホルダーは別売りとかは?

古家 伊勢丹新宿とミント神戸のイベントのみキーホルダーを単体購入出来るようにしました。限定数にはなるんですけど。

加賀美 限定感がいいね。

Q6 加賀美さんのお気に入りアイテムは

加賀美 “セルフィー大好ふぃー”のケースかな。これがバチッときてる。全部良いんだけど、振り切ってて良い。

伊勢 確かにそうですね。

古家 作ってて一番最初に、加賀美さんが選んだお色ですもんね。

加賀美 そうそう。ピンクと青。

古家 レインボーは6色選んでいただいて、黄色を多くして組みましたね。

加賀美 正解だと思う。

伊勢 モノクロも勿論可愛いですよね。シックで使いやすくて。

古家 レインボーを悩まれる方は、こちらで楽しんでいただければ。

伊勢 迷っちゃうから2つ買っちゃおうかな。って。

加賀美 イベントで接客しますね。

Q7 「実家帰れ」と野球について

古家 加賀美さんの有名な言葉のひとつに「実家帰れ」があると思うのですが、昔の野球部の先輩に加賀美さんが三振したりするとよく言われた言葉がきっかけとお聞きしまして、自身も野球部だった事もあり、すごく親近感があります。お二人の好きな野球選手をお聞きしたいのですが。笑

加賀美 僕は子供の頃から変わらず“落合博満“ですね。あと“イチロー“も好きかな。野球に対する向き合い方が大好きですふたりとも。イチローが大リーグ行く前に落合とイチローの対談があったんだけど、宇宙の感覚で喋ってるんだよね。誰が聞いても全くわからない。落合が「お前さあ、調子悪いだろ。」って言って、イチローが「はい」って。落合が「お前な、遅れてるんだよ。」と言ったら、イチローが「自分でも分かってます、ありがとうございます。」って言うんだよ。見てて全然分かんないんだけど、微妙に肩が下がってるんだって。

伊勢 プロフェッショナルな会話ですね。

加賀美 そういうの見るのが好きです。あのふたりはすごいですね。誰が好きなんですか?

古家 僕は“大谷翔平“です。

加賀美 あ~あ。大谷くんすごいですもんね。

古家 同じ身長なので。笑 ハルヒさんは?

伊勢 私は“イチロー“ですかね。

加賀美 みんなイチロー天才天才って言うけど、違うと思うんだよね。

伊勢 努力型ですよね。

加賀美 そう、努力の天才。

Q8 インスピレーションやチョイスする基準はどこから

古家 加賀美さんは日常生活をアートに表現していくうえで皮肉な言葉の表現が多いイメージですが、そのインスピレーションやチョイスする基準はどこからきてるのでしょうか。

加賀美 基準…斜めから見てるかもね。そこがポイントじゃないですか。自分の作品で突っ込んでる感じですよ、世の中を。それで作っているわけじゃないんですけど、この地球上に生きてるから自然と目に入るでしょう色んなことが。それに対して疑問にもつことが人によってそれぞれ違うし。別にコンセプト無いんですけど、難しいな。

古家 斜めの角度って言うのは、年齢によって変わってきたりするのですか。

加賀美 変わんないですけどね。変わんないんだけど、言い過ぎちゃったり、断定するようなことを言うと、おもしろくないじゃないですか何でも。それにしか見えないというか。僕の場合は言ってることキツそうだと思っても、ユーモアに届くように意識してるくらいですかね。

伊勢 なんか絶妙な誰もが一瞬でも思ったことあるようなことを捉えるのがうまいと言うか。それこそちょっと前だと、「コーヒーコーヒーうるさい!!」とか。それはみんな一瞬思うんですよ。また言ってんな、って。それを加賀美さんがユーモア交えて言ってくれるから、わかるわかるみたいな。

加賀美 たまにDMで「僕もわかります。言ってくれてありがとうございます。」ってくるんです。でもすごい気をつけていますよ。一線を超えてはいけないようにだったり、誰か傷つけないように。それは人一倍気をつけてます。

Q9  今後スマートフォンアクセサリーであったらいいなと思うアイテム

加賀美 スマホの形になってないとだめだからね、スマホのケースだから

伊勢 Tシャツとかいいんじゃないですか?携帯がピッタリ入るサイズの、凄い生地で

加賀美 重くなるんじゃない?靴とか面白いかもね

伊勢 電話出れなくないですか?

古家 確かにそうですね

加賀美 かばんにガチャッと付けれる感じとか、でもそうゆうのはもうあるか、何がおもしろいんだろうね

伊勢 キャップに付けれてそのまま電話に出れるとか。

加賀美 カツラにくっついてるとか、結構大きくなっちゃうね

古家 最近はショルダーが人気があって、扇風機をつけて持ち運べたりとか

伊勢 オシャレなやつだったらいいよね

加賀美 でも電話がかかってきたら、ブゥーーーンって音がなっちゃって喋っても聞こえなくなっちゃうんじゃない?もしもーし、もしもーしって

伊勢 おもしろい!冬はあったかくなるとかね、カイロとか。スマホが壊れない程度に。

加賀美 みんなが気づいてないヒットする何かヒントがまだあると思うんだよね。

古家 扇風機とカイロいただきます。笑

Q10 最後にこれからのお二人の動きをお聞きかせ下さい

伊勢 加賀美さんの本が出ますよね。糸井重里さんに帯を書いてもらって。加賀美さんが今まで買ったものを一冊にまとめてインタビューをプラスした素晴らしい内容になっています。

古家 サイン会もありますか?

加賀美 ありますよ。

伊勢 夏の一大イベントですね。

古家 楽しみにしてます!

伊勢 VOILLDが今年10周年を迎えるので、色んな方と色んなものを作っていけたらなと思っています。今ちょうど加賀美さんともTシャツを作っています。あと、加賀美さんとPodcastもやってます。

古家 僕聞いてますよ。

加賀美 聞いてる?うれしい!

春日 今7回分アップされてて、時事ネタに触れたり、全然関係ない話をしたりしてますので、ぜひ聞いて下さい。

加賀美 今度A SCENEの話もしないとね!

Ken Kagami
加賀美健

現代美術作家。1974年東京生まれ。現在も東京を拠点に制作活動を行う。国内外の美術展、アートフェアへの参加、企業やブランドへの作品提供など、幅広く活動をしている。社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して作品を発表している。2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)ストレンジストアをオープン。

VOILLD

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大阪・南堀江のライフスタイルセレクトショップTHE GROUND depot. (グラウンドデポ)。国内外の人気ブランドをセレクトしています。
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「都会と自然をつなぐ溜まり場」をコンセプトにアウトドアのフィルターを通したライフスタイル・セレクトショップ。